不動産営業マンの方角に関する知識~結局南向きがいいの?~
不動産営業をしていて絶対に避けて通れないのが方角に関する知識だ。
東西南北のなかでも、一般的に南向きだと日当たりがよくて良いと言われているが、
そこに住む人のライフスタイルによっては別の方角でもいい場合がある。
方角の知識がなければ、ヒアリングをしっかりしても良い提案をお客様にすることはできない。
いろいろな顧客のニーズに沿えるように、また、どんな方角の部屋でも売ることが出来るように営業マンが使える方角知識を身につけておこう。
各方角のメリットとデメリット
それでは各方角の特徴やメリットとデメリットについて見てみよう。基本的には太陽の動きに関係していることが多いので、すぐに覚えられるはずだ。
①南
・メリット
南向きの家と言えば日当たりの良さだろう。朝から日の入りまでまんべんなく日が当たる。そのため洗濯物も乾きやすい。日本人は特に日あたりの良さを重視するので南向きの部屋は最も人気がある。日射しの少ない冬でも1日中部屋の中に光が当たるので、冬も比較的部屋が暖かくなるのも1つの特徴だ。
将来的に自分の南向き物件を売却することになっても、他の方角に比べると売りやすい。
ただ稀に南向きに開口部がある物件でも目の前の建物のせいで日差しがあまり入ってこない物件もあるので注意が必要だ。
・デメリット
人気がある方角のため、その分家賃や価格など、割高になることが多い。また、夏場はかなり日が当たるため、部屋の温度が上昇しやすい。それに伴いエアコン代もかかってしまうのが難点だ。高層階の南向きの部屋だと日が当たりやすいので窓際に置いているものが焼けるリスクもある。
南向きが理想だったが、実際に暮らし始めてみると暑すぎて不便というお客様の声も意外と多い。
建築に関する点では、北側斜線規制という北側隣地にある住宅の日当たりに配慮した規制の影響を受けることが多く、せっかくの容積率を活かせない土地が多い。
南向き土地物件は斜線規制が原因で理想とする外観の建物が建てられなかったり、求めている間取りが実現できないことが多い。
②北
・メリット
1番日当たりが良く人気の南の真反対の方角ということもあり、家賃は安めである。また、日当たりが少ないことで夏場は比較的部屋が涼しくなることも挙げられるだろう。1日中家を開けていることが多かったり、周りに建物が多くて南向きのベランダでも日が遮られるような物件であれば、家賃の安い北向きの部屋の方がお得になる。
斜線制限の影響を受けにくく、ボリュームのある建物が建築できたり、真四角に近い外観の建物が他の方角に比べて建てやすい。
・デメリット
日当たりが悪い。そのため洗濯物も乾きにくい。また、湿度が高くなりやすいので、カビ等、水場のお手入れに気をつけなければならない。
将来物件を貸したり売却したりする際にも、北向きというだけで嫌がる客は一定する存在ことは頭に入れたうえで北向きを選択するほうがいい。
「北向きで陽は当たらなくても洗濯物は外に干せば風はありますから問題ないですよ(適当)」
「北向きで容積率も十分活かせそうですし、南向きバルコニーとかにしたらどうですか?」
③東
・メリット
朝の日射しが入ってくる。日の光を浴びるのは大事なことなので、朝から良い気分で過ごすことが出来る。また、冬は朝が寒くなりがちだが、朝から日射しが入ることで部屋が早い時間から暖まるというメリットもある。
・デメリット
逆に午後からは日射しがあまり入らなくなる。洗濯物をするなら朝早くからするのが1番好ましい。そういう面では朝早くから家を空けるライフスタイルの人にはあまり向かないかもしれない。
午後になると陽が入らず、寒い、暗いというリスクはある。
④西
・メリット
午前の日当たりはあまり良くないが、午後からは日射しが入る。朝はゆっくり寝たいという人や、午後からゆっくり活動したいという人にはオススメの方角である。
・デメリット
夏は午後からの西日が入り込むので、まぶしく、部屋の温度も上がりやすい。そのため他の方角よりも冷房を効かせる必要が出てくるかもしれない。
西日により窓近くに置いておいたものが日焼けしてしまうということも多い。
各方角に向いているライフスタイルとは?
各方角の特徴を踏まえると、それぞれに合ったライフスタイルが見えてくる。ここでは簡単にどの方角がどんなライフスタイルの人に向いているのかについてまとめておく。
南:1人暮らしからファミリーまで、どんな世帯でも向いている。1日中家にいることが多い人向きでもある。
北:1日中外出している人。家賃を安く抑えたい人。
東:朝から活動する人。朝から日光を浴びたい人。
西:朝はゆっくり起きたい人。午後から活動を始める人。
1番人気があるのは1日中日当たりが良い南向きの物件だが、その人のライフスタイルや要望によっては他の方角の方が良い場合もある。そのため、顧客の1日の行動について聞いておくことが大切だ。日当たりや方角について気にする人は多いので、ここに書いたことくらいはしっかり押さえておこう。