不動産売却相談の対応マニュアル(専属専任はやり過ぎ)

「専任媒介」といえば、売買仲介営業マンなら大好きな言葉だろう。
「専任物件」さえあれば、反響もたくさん来るし、最低でも売主から片手分の手数料が入ると考えれば、喉から手が出るほど欲しいものだ。
不動産売却の相談は他社との相見積もりをされるケースが多く、どの会社も専任を取るために必死のため、他社との闘いともいえる。

今回は客から不動産売却の相談があった場合の対応マニュアルのご紹介です。

不動産の売却を考えている客からの電話があった場合、
最初にヒアリングすべき主な項目は以下の5つである。
売却の動機(なぜ売るのか、いつまでに売りたいのか)
残債がいくらあるのか(最低でも抵当権が外れる金額で媒介が欲しいため)
売主は誰か(共有持分のある物件の場合は全員売却の意思があるのか確認する必要があるため)
他の不動産会社に売却の相談はしているのか(専任媒介がとれそうかどうか)
売主の希望売却価格の目線(希望価格と査定金額に乖離があると媒介がもらえない可能性があるため)



次に最低限聞くべきは売却を考えている不動産の内容である。
(戸建てor土地の場合)
所在地
土地面積、建物面積
築年数
間口と前面道路の広さと種類(公道か私道か)
告知事項やトラブルがあるか

(マンションの場合)
マンション名
専有面積と間取りと階数
告知事項やトラブルがあるか

(投資用マンション・オーナチェンジ物件の場合)
マンションの場合の項目に追加して
現在の貸し出している賃料

(収益不動産・一棟アパート・一棟マンションの場合)
戸建てor土地の場合の項目に追加して
現在の利回りと賃貸借契約の状況
検査済証があるのかどうか(銀行融資において重要なため)
増築や用途変更をしているかどうか(銀行融資において重要なため)

最低限これだけ聞ければ、あとはレインズの成約事例やアットホームの販売履歴で簡単に価格は算出できる。また現在販売中のライバルとなりそうな類似物件の金額も査定金額の根拠となる。
買取再販業者に物件情報を流し、業者の買取価格の目線とエンド価格設定の相談をするのも査定金額の根拠づくりに使える。

最後に客が売却を考えている不動産への現地調査のアポを取る。
「実際に室内見せていただいてよろしいですか?」
実際に売主に合い、そこで金額を提示し、媒介契約書にサインをもらうのがベストなのだが、事前に電話で大まかな金額の目線を伝えて固めておくことも大切である。

不動産売却の相談は他社との相見積もりとなることも多いため、
一番最初に売主に会い、現地調査し、仲良くなって高い金額で専任媒介だけもらってしまうのも手ではある。
「他業者より高く売ってみせるので3か月だけ専任ください」→専任もらって他業者を排除
②とりあえず専任さえもらえれば、あとは売主と仲良くなりつつ事情を説明して徐々に金額を下げてもらう。

ただし高い金額で媒介をもらってしまうと売れずに後で困るのは自分である。
「あなたがこの金額で売れるって言ったじゃないの!」
「まだ売れないんですか?もう他の不動産会社さんに売却切り替えます」
売主との上手なコミュニケーションが取れなければ、他業者に浮気されてしまう。

媒介契約書には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があるが、
個人客から売却を任せてもらう場合は「専任媒介」の獲得を目指す。

実務経験のない人は自己発見取引もできない「専属専任媒介」のほうが良いのでは?と考えるかもしれないが、「専属専任媒介」はやりすぎである。
不動産会社に売却の相談をしてくるような個人客が、自分で買い手を見つけて自己発見取引により成約することはまずあり得ない。
むしろ仲良くなる前の売主に不動産業者による囲い込みのような印象を与え、不信感を持たれる可能性すらある。
※売主が不動産業者の場合は専属専任媒介のが良いケースはある。

売主をグリップしているなら、あえてレインズに掲載する義務のない「一般媒介」をもらっておき、未公開物件として自分の客や買取業者で裁いてしまう手もある。
ただ売主と関係を築けていない段階で「一般媒介」になってしまうと、他業者からのアプローチが激しく、売主の状況を把握できなくなってしまう

営業マンが不動産売却の相談を受けたからには、なんとしても「専任媒介」を目指すのがベスト。
特に売主が不動産を売ろうと思った理由についてはよくヒアリングしたうえで査定金額を提示しなければ、せっかくの売却相談もなくなってしまう。