役所調査マニュアル(物件調査)

役所は受け身です。
職員さん達は常に忙しいので、「聞かれないことには答えない」のが常識。
場数が踏めないうちは、
早口で聞きなれない文言の連続に頭が痛くなること間違いなし。
それが不動産の役所調査です。

この役所調査の怖いところは、
同じ物件でも、調査する人の知識経験質問の仕方で、
全く違う調査結果になってしまうという点。
何を調査するのか、目的を忘れないこと。
調査内容と調査範囲の見極めが大切です。

ということで今回は不動産新人による不動産新人のための
役所調査マニュアルのご提供です。


①役所調査で必要な持ち物
・住宅地図(対象物件をマーキングして、住居表示と地番を書き込んでおく)
・登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面(建築概要書取得の際に確認のために使う。また公図は道路接道が怪しい時に担当者と見る可能性あり)
・委任状(媒介契約書)(評価証明書の取得や、上下水道の調査など個人情報に関して所有者の同意が必要な場面で使用)
・メモ用紙&ペン

②調査すべきことと質問の仕方、取得すべき書類について

『都市計画課』
(用途地域、計画道路、地域地区計画の確認)
「用途地域、計画道路、地域地区計画、都市施設の有無を教えてください」
・都市計画道路が敷地を通っている、または近隣にあるとき
「計画決定ですか?事業決定ですか?あと名称と計画幅員を教えてください」
計画決定の場合→「計画決定期日はいつですか?番号は何番ですか?事業化決定の予定はありますか?」
事業決定の場合→「事業開始と完了予定日を教えてください。」
・都市計画道路が敷地と重なる場合
「敷地にどの程度重なるか証明書は出ますか?もしくは証明書をいただくにはどういった方法がありますか?」「建築する際の制限について教えてください。」
・地区計画、その他都市計画法に絡む場合
「詳細な建築等の制限について教えてください」
☆都市計画図(用途地域図、都市施設図、計画道路図)を取得。場合によっては都市計画道路線引図も取得。

『建築指導課』
(建築基準法の該当有無(私道の調査)、建築確認と検査済証の確認、擁壁や工作物の取り扱い、再建築や建築の制限に係る情報の確認、狭あい道路の協議(道路中心線を確定する協議)、自治体の条例を確認)
「この道路は建築基準法上の道路ですか?」
※公道イコール建築基準法上の道路というわけではないので注意。東京23区では区有通路という名称で公道なのに建築基準法上の道路に該当しない道路がある。建物を建てるには建築基準法上の道路と敷地が2m以上接してないとダメ。公道私道問わず建築基準法上の道路なら問題なし。
「建築確認番号と検査済番号を教えてください。建築概要書と台帳記載事項証明の写しをください。」
「建築を制限する条例や法律があったら教えてください。」
・私道4m未満で42条2項道路の場合
「私道の中心線はどこですか?セットバックはどの程度すればいいですか?狭あい協議は必要でしょうか?またその方法を教えてください。」
・私道が位置指定道路の場合
「指定番号と指定年月日、認定幅員を教えてください。また位置指定図面があれば写しをください。」
・再建築不可、再建築できなさそうな場合
「再建築できますか?どうすれば再建築できるようになるのでしょうか?」
・市街化調整区域にある不動産の場合
「市街化調整区域にあるのですが、どのような規制がありますか?また建築可能な建物の要件を教えてください。」
・非線引き都市計画区域にある不動産の場合
「都市計画図で確認すると、非線引き都市計画区域のようですが、建築規制に関して教えてください。」
・擁壁がある場合
「擁壁がある場合の建築等の制限を教えてください。また、その建築概要書と台帳事項証明書をください。」
☆建築概要書(工作物・擁壁含む)、台帳記載事項証明書、位置指定道路図、狭あい協議書の取得

『宅地開発課』
(開発許可、宅地時造成許可、旧住宅地造成事業許可の確認)
・団地や一体的な開発エリア内にある物件の場合
「開発許可はありますか?宅地造成許可はありますか?旧住宅地造成事業許可はありますか?」
ある場合→「それらに関する図面(開発登録簿、土地利用計画図)をください」
・隣地や周辺に大きな空地などがある場合
「隣地や周辺に開発許可の記録があるか教えてください。」
☆開発登録簿、土地利用計画図の取得

『道路課』
(道路種別、道路法上認定された公道なのか私道なのか、番号、認定幅員の確認、道路境界の確定の有無を確認)
「道路種別と路線番号、現況及び認定の幅員、また道路境界の査定の有無を教えてください。」「道路台帳等の図面をください」
・公道の場合→「道路査定(道路と敷地との境界確定)済みですか?査定済みなら道路境界画定図(道路査定図)の写しをください。」
・私道の場合→建築指導課へGO

☆道路台帳図(現況平面図)、認定路線図、区域線図、道路境界図の取得

『環境課』
(土壌汚染の有無を調査)
「土壌汚染の有無を教えてください。」
☆届出簿をコピーまたは書き写すまたは写メ

『区画整理課』
(区画整理事業の確認、事業内容や精算金や賦課金について)
「区画整理事業はありますか?あれば事業内容、精算金や賦課金について教えてください。」
☆換地証明書、底地証明書、重ね図の取得

『下水道課』
(前面道路の下水道配管の有無、管径の長さの確認、合流式か分流式かの確認、雨水の処理方式の確認、下水道使用料金の発生有無)
「前面道路下の下水道管の有無と管径、土被り厚を教えてください。また下水道台帳図面をください。」
「分流式でしょうか?合流式でしょうか教えてください。また雨水の処理方法も教えてください。」
「下水道の負担金はかかるか教えてください。」
「使用料金が発生しているか教えてください。」
☆下水道台帳図の取得

『上水道課』(委任状必要)
(前面道路の上水道配管の有無、管径の長さの確認、宅地内の配管を確認、給水装置の所有者名義人の確認)
「前面道路下の給水管の有無と口径、土被り厚、引込管の有無と口径を教えてください。給水台帳図面もください」
「宅地内給水管の管径等を教えてください。その図面もください。」
「給水装置の所有者は○○さんでいいですか?」
・引込管や水道メーターが設置されていない場合
「引込管を設置するのにかかる費用を教えてください。」
☆上水道台帳図、宅地内配管図の取得

『河川課』
(近隣にある河川、水路情報の確認)
「河川(水路)の管理幅や深さなどを教えてください。あと図面もください。」
☆水路図の取得

『防災課』
(浸水履歴、想定される浸水深さの確認、液状化を含む地震時の影響の確認)
「浸水履歴と想定深さ、地震による被害、液状化の可能性について教えてください。」
☆地震浸水ハザードマップ、液状化マップの取得

『生涯教育課または教育委員会等』
(文化財埋蔵包蔵地の該当有無の確認)
「文化財埋蔵包蔵地に該当するか教えてください。」
・該当地または隣接地の場合
「建築物を建てる場合の届け出方法、書式など概要を教えてください。また、試掘等の費用はどうなりますか?」
・対象地でかつて試堀が行われたことがある場合
「どのようなケースで再度試掘することになるかを教えてください。」
☆届出書の取得。エリア図の取得。

『都税事務所or資産税課』(媒介契約書or委任状必要)
(土地家屋の評価額や税金の確認)
☆評価証明書、公租公課証明書の取得

情報公開室や情報センターといわれる場所で、都市計画図がコピーできたり、浸水ハザードマップなどが備え付けられていたりする。

調査の目的と不動産の属性によって
調査方法はケースバイケースとしか言いようがなく・・・・・
新人に教えようにも教えられないのです。

最後に受け答えしてくれた担当職員さんの名前を聞いてメモしておきましょう。後日ちょっとした疑問であれば、わざわざ役所に行かなくても電話で答えてくれるケースが多いです。(電話で名指しで呼び出してやると丁寧な対応になります)

役所調査においては、知ったかぶりをしないこと。
メンドくさそうな対応をされても
自分が理解できるまでしっかり聞きましょう。
相手はお客様ではありません。公務員です。図々しく利用してやるつもりで調査しないとダメです。むかつく職員がいたら名前だけ控えてあとでクレームの電話をしましょう(笑)

この役所調査マニュアルは今後不動産新人が場数を踏むごとに
より使いやすいマニュアルになるように
随時更新していく予定です。